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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章[第五段 源氏、二条院に帰る] (39)いつの折にか、たいした名でもないお名前を申し上げなさることができましょう。初めから、不思議な思いもかけなかったご関係なので、『現実の事とは思えない』とおっしゃって、『お名前を隠していらしたのも、あなた様でいらっしゃるからでしょう』と存じ上げておられながら、『いい加減な遊び事として、お名前を隠していらっしゃるのだろう』と辛いことに、お思いになっていました」と申し上げるので、「つまらない意地の10113012四であったな。自分は、そのように隠しておく気はなかった。ただ、このように人から許されない忍び歩きを、まだ経験ないことなのだ。主上が御注意あそばすことを始め、10122011131四ことの多い身分で、ちょっと人に20261.53211140五を言っても、126131333五で、取り20131二が大げさな身の上の有様なので、ふとした夕方の事から、妙に心に掛かって、無理算段してお通い申したのも、このような運命がおありだったのだろうと思うにつけても、お気の毒で。また反対に、恨めしく思われてならない。こう長くはない宿縁であったれば、どうして、あれほど心底から愛しく(いとしく)思われなさったのだろう。もう少し詳しく話せ。今はもう、何を隠す必要があろう。七日毎(ごと)に仏画を描かせても、誰のためと、心中にも祈ろうか」とおっしゃると、「どうして、お隠し申し上げましょう。ご自身が、お隠し続けていらしたことを、お亡くなりになった後に、口軽く言い12012422三てはいかがなものか、と存じおりますばかりです。ご両親は、早くお亡くなりになりました。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章[第二段 尼君死去し寂寥(せきりょう)と孤独の日々](39)いつの折にか、たいした名でもないお名前を申し上げなさることができましょう。初めから、不思議な思いもかけなかったご関係なので、『現実の事とは思えない』とおっしゃって、『お名前を隠していらしたのも、あなた様でいらっしゃるからでしょう』と存じ上げておられながら、『いい加減な遊び事として、お名前を隠していらっしゃるのだろう』と辛いことに、お思いになっていました」と申し上げるので、「つまらない意地の張り合いであったな。自分は、そのように隠しておく気はなかった。ただ、このように人から許されない忍び歩きを、まだ経験ないことなのだ。主上が御注意あそばすことを始め、憚る(はばかる)ことの多い身分で、ちょっと人に冗談を言っても、窮屈で、取り沙汰が大げさな身の上の有様なので、ふとした夕方の事から、妙に心に掛かって、無理算段してお通い申したのも、このような運命がおありだったのだろうと思うにつけても、お気の毒で。また反対に、恨めしく思われてならない。こう長くはない宿縁であったれば、どうして、あれほど心底から愛しく(いとしく)思われなさったのだろう。もう少し詳しく話せ。今はもう、何を隠す必要があろう。七日毎(ごと)に仏画を描かせても、誰のためと、心中にも祈ろうか」とおっしゃると、「どうして、お隠し申し上げましょう。ご自身が、お隠し続けていらしたことを、お亡くなりになった後に、口軽く言い洩らし(いいもらし)てはいかがなものか、と存じおりますばかりです。ご両親は、早くお亡くなりになりました。 |