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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章[第五段 源氏、二条院に帰る] (36)まったく、帰り着けそうにない気がする」とおっしゃるので、惟光(これみつ)も2014013413四して、「自分がしっかりしていたら、あのようにおっしゃっても、このような所にお連れ出し申し上げるべきではなかった」と反省すると、とても気ぜわしく落ち着いていられないので、鴨(かも)川の水で手を11242三清めて、清水(しみず)の観音をお拝み申しても、どうしようもなく途方に暮れる。源氏の君も、無理に気を取り直して、心中に仏を10141112三なさって、再び、あれこれ助けられなさって、二条院へお帰りになるのであった。奇妙な22140121三のお忍び歩きを、女房たちは、「みっともないこと。近ごろ、いつもより落ち着きのないお忍び歩きが、うち続く中でも、昨日(きのう)のご様子が、とても苦しそうでいらっしゃいましたが。どうしてこのように、ふらふらお出歩きなさるのでしょう」と、嘆き合っていた。ほんとうに、お臥せり(ふせり)になったままで、とてもひどくお苦しみになって、二、三日にもなったので、すっかり23220260.513五のようでいらっしゃる。帝におかせられても、お耳にあそばされ、嘆かれることはこの上ない。御祈祷(ごきとう)を、方々の寺々にひっきりなしに大騒ぎする。祭り、祓い(はらい)、修法など、数え上げたらきりがない。この世にまたとなく美しいご様子なので、長生きあそばされないのではないかと、国中の人々の21134142三である。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章[第二段 尼君死去し寂寥(せきりょう)と孤独の日々](36)まったく、帰り着けそうにない気がする」とおっしゃるので、惟光(これみつ)も困惑して、「自分がしっかりしていたら、あのようにおっしゃっても、このような所にお連れ出し申し上げるべきではなかった」と反省すると、とても気ぜわしく落ち着いていられないので、鴨(かも)川の水で手を洗い清めて、清水(しみず)の観音をお拝み申しても、どうしようもなく途方に暮れる。源氏の君も、無理に気を取り直して、心中に仏を拝みなさって、再び、あれこれ助けられなさって、二条院へお帰りになるのであった。奇妙な深夜のお忍び歩きを、女房たちは、「みっともないこと。近ごろ、いつもより落ち着きのないお忍び歩きが、うち続く中でも、昨日(きのう)のご様子が、とても苦しそうでいらっしゃいましたが。どうしてこのように、ふらふらお出歩きなさるのでしょう」と、嘆き合っていた。ほんとうに、お臥せり(ふせり)になったままで、とてもひどくお苦しみになって、二、三日にもなったので、すっかり衰弱のようでいらっしゃる。帝におかせられても、お耳にあそばされ、嘆かれることはこの上ない。御祈祷(ごきとう)を、方々の寺々にひっきりなしに大騒ぎする。祭り、祓い(はらい)、修法など、数え上げたらきりがない。この世にまたとなく美しいご様子なので、長生きあそばされないのではないかと、国中の人々の騷ぎ(さわぎ)である。 |