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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章[第五段 源氏、二条院に帰る] (32)「付き添っていた女はどうしたか」とおっしゃると、「その者も、同様に、生きられそうにございませんようです。自分も死にたいと取り乱しまして、今朝(けさ)は谷に飛び込みそうになったのを拝見しました。『あの前に住んでいた家の人に知らせよう』と申しますが、『今しばらく、落ち着きなさい、と。事情をよく考えてからに』と、41211114三ておきました」と、ご報告申すにつれて、とても悲しくお思いになって、「わたしも、とても気分が悪くて、どうなってしまうのであろうかと思われる」とおっしゃる。「何を、この上くよくよお考えあそばしますか。そうなる運命に、万事決まっていたのでございましょう。誰にも聞かせまいと存じますので、惟光(これみつ)めが身を入れて、万事2211133三いたします」などと申す。「そうだ。そのように何事も思ってはみるが、いい加減な遊び心から、人を死なせてしまった非難を受けねばならないのが、まことに辛いのだ。少将命婦などにも聞かせるな。尼君はましてこのようなことなど、お2211130三になるから、恥ずかしい気がしよう」と、口1033202三なさる。「その他(ほか)の法師たちなどにも、すべて、説明は別々にしてございます」と申し上げるので、頼りになさっている。わずかに会話を聞く女房などは、「変だわ、何事だろうか、穢れ(けがれ)に10313231三旨をおっしゃって、宮中へも参内なさらず、また、このようにひそひそと話して41144234四いらっしゃる」と、ぼんやり不思議がる。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章[第二段 尼君死去し寂寥(せきりょう)と孤独の日々](32)「付き添っていた女はどうしたか」とおっしゃると、「その者も、同様に、生きられそうにございませんようです。自分も死にたいと取り乱しまして、今朝(けさ)は谷に飛び込みそうになったのを拝見しました。『あの前に住んでいた家の人に知らせよう』と申しますが、『今しばらく、落ち着きなさい、と。事情をよく考えてからに』と、宥め(なだめ)ておきました」と、ご報告申すにつれて、とても悲しくお思いになって、「わたしも、とても気分が悪くて、どうなってしまうのであろうかと思われる」とおっしゃる。「何を、この上くよくよお考えあそばしますか。そうなる運命に、万事決まっていたのでございましょう。誰にも聞かせまいと存じますので、惟光(これみつ)めが身を入れて、万事始末いたします」などと申す。「そうだ。そのように何事も思ってはみるが、いい加減な遊び心から、人を死なせてしまった非難を受けねばならないのが、まことに辛いのだ。少将命婦などにも聞かせるな。尼君はましてこのようなことなど、お叱りになるから、恥ずかしい気がしよう」と、口封じなさる。「その他(ほか)の法師たちなどにも、すべて、説明は別々にしてございます」と申し上げるので、頼りになさっている。わずかに会話を聞く女房などは、「変だわ、何事だろうか、穢れ(けがれ)に触れた旨をおっしゃって、宮中へも参内なさらず、また、このようにひそひそと話して嘆いていらっしゃる」と、ぼんやり不思議がる。 |