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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章[第五段 源氏、二条院に帰る] (31)昨夜も、管弦の御遊の折に、畏れ多くもお探し申しあそばされて、御12144140三お悪うございました」と申し上げなさって、また引き返して、「どのような穢れ(けがれ)にご3031433四あそばしたのですか。ご説明なされたことは、本当とは存じられません」と言うので、胸がどきりとなさって、「このように、詳しくではなく、ただ、思いがけない穢れ(けがれ)に触れた由を、奏上なさって下さい。まったく不都合なことでございます」と、さりげなくおっしゃるが、心中は、どうしようもなく悲しい事とお思いになるにつけ、ご気分もすぐれないので、誰ともお顔を合わせなさらない。蔵人(くらんど)の弁を呼び寄せて、きまじめにその旨を30320261.53五させなさる。大殿などにも、これこれの事情があって、参上できないお手紙などを差し上げなさる。 [第六段 十七日夜、夕顔の葬送] 日が暮れて、惟光(これみつ)が参上した。これこれの穢れ(けがれ)があるとおっしゃったので、お見舞いの人々も、皆立ったままで退出するので、人目は多くない。呼び寄せて、「どうであったか。もうだめだと見えてしまったか」とおっしゃると同時に、袖をお顔に押し当ててお泣きになる。惟光(これみつ)も泣きながら、「もはやご最期のようでいらっしゃいます。いつまでも一緒に2012016.534四おりますのも不都合なので、明日(あした)は、日柄がよろしうございますので、あれこれ303142三のことを、大変に403402四老僧で、知っております者に、連絡をつけました」と申し上げる。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章[第二段 尼君死去し寂寥(せきりょう)と孤独の日々](31)昨夜も、管弦の御遊の折に、畏れ多くもお探し申しあそばされて、御機嫌お悪うございました」と申し上げなさって、また引き返して、「どのような穢れ(けがれ)にご遭遇あそばしたのですか。ご説明なされたことは、本当とは存じられません」と言うので、胸がどきりとなさって、「このように、詳しくではなく、ただ、思いがけない穢れ(けがれ)に触れた由を、奏上なさって下さい。まったく不都合なことでございます」と、さりげなくおっしゃるが、心中は、どうしようもなく悲しい事とお思いになるにつけ、ご気分もすぐれないので、誰ともお顔を合わせなさらない。蔵人(くらんど)の弁を呼び寄せて、きまじめにその旨を奏上させなさる。大殿などにも、これこれの事情があって、参上できないお手紙などを差し上げなさる。 [第六段 十七日夜、夕顔の葬送] 日が暮れて、惟光(これみつ)が参上した。これこれの穢れ(けがれ)があるとおっしゃったので、お見舞いの人々も、皆立ったままで退出するので、人目は多くない。呼び寄せて、「どうであったか。もうだめだと見えてしまったか」とおっしゃると同時に、袖をお顔に押し当ててお泣きになる。惟光(これみつ)も泣きながら、「もはやご最期のようでいらっしゃいます。いつまでも一緒に籠っ(こもっ)ておりますのも不都合なので、明日(あした)は、日柄がよろしうございますので、あれこれ葬儀のことを、大変に尊い老僧で、知っております者に、連絡をつけました」と申し上げる。 |