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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 [第四段 (23)手を叩く(たたく)と、こだまが応える(こたえる)、まことにうるさい。こちらに、しばらくは、近くへ」と言って、右近(うこん)を引き寄せなさって、西の妻戸に出て、戸を押し開けなさると、渡殿の火も2321342三消えていた。風がわずかに吹いているうえに、人気も少なくて、3311434四いる者は皆寝ていた。この院の管理人の子供で、親しくお使いになる若い男、それから殿上童一人(ひとり)と、いつもの随身だけがいるのであった。お呼び寄せになると、お返事して起きたので、「紙燭(ししょく)を点け(つけ)て持って参れ。『随身にも、弦打ちをして、絶えず音を立てていよ』と命じよ。人気のない所に、気を許して寝ている者があるか。惟光(これみつ)朝臣(あそん)が来ていたようなのは」と、お尋ねあそばすと、「10211434四いましたが、ご命令もない。早暁にお迎えに参上すべき旨申して、帰ってしまいました」と申し上げる。この、こう申す者は滝口の武士であったので、弓の144140二をまことに手馴れ(てなれ)た様子に打ち鳴らして、「火の用心」と言いながら、管理人の部屋(へや)の方角へ行ったようだ。内裏をお思いやりになって、「名対面は過ぎたろう、滝口の宿直奏しは、ちょうど今ごろか」と、ご推量になるのは、まだ、さほど夜も更けていないのでは。戻って入って、お確かめになると、女君はそのままに臥し(ふし)ていて、右近(うこん)は1131134124四にうつ伏していた。「これはどうしたことか。何と、気違いじみた怖がりようだ。荒れた所には、狐などのようなものが、人を1021411303五として、怖がらせるのだろう。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 [第四段 (23)手を叩く(たたく)と、こだまが応える(こたえる)、まことにうるさい。こちらに、しばらくは、近くへ」と言って、右近(うこん)を引き寄せなさって、西の妻戸に出て、戸を押し開けなさると、渡殿の火も既に消えていた。風がわずかに吹いているうえに、人気も少なくて、仕えている者は皆寝ていた。この院の管理人の子供で、親しくお使いになる若い男、それから殿上童一人(ひとり)と、いつもの随身だけがいるのであった。お呼び寄せになると、お返事して起きたので、「紙燭(ししょく)を点け(つけ)て持って参れ。『随身にも、弦打ちをして、絶えず音を立てていよ』と命じよ。人気のない所に、気を許して寝ている者があるか。惟光(これみつ)朝臣(あそん)が来ていたようなのは」と、お尋ねあそばすと、「控えていましたが、ご命令もない。早暁にお迎えに参上すべき旨申して、帰ってしまいました」と申し上げる。この、こう申す者は滝口の武士であったので、弓の弦をまことに手馴れ(てなれ)た様子に打ち鳴らして、「火の用心」と言いながら、管理人の部屋(へや)の方角へ行ったようだ。内裏をお思いやりになって、「名対面は過ぎたろう、滝口の宿直奏しは、ちょうど今ごろか」と、ご推量になるのは、まだ、さほど夜も更けていないのでは。戻って入って、お確かめになると、女君はそのままに臥し(ふし)ていて、右近(うこん)は傍らにうつ伏していた。「これはどうしたことか。何と、気違いじみた怖がりようだ。荒れた所には、狐などのようなものが、人を脅かそうとして、怖がらせるのだろう。 |