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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 [第四段 (22)夜半、もののけ現われる(あらわれる)] 1232二を過ぎるころ、少し寝入りなさった頃に、おん枕上に、とても美しそうな女が2313416.534四、「わたしがあなたをとても素晴らしいとお慕い申し上げているそのわたしには、お訪ねもなさらず、このような、特に優れたところもない女を連れていらっしゃって、おかわいがりになさるのは、まことに癪(しゃく)にさわり辛い(づらい)」と言って、自分のお側(おそば)の人を引き起こそうとしているる、と御覧になる。555三に1030134132四る気持ちがして、目をお覚ましになると、火も消えていた。気持ち悪くお思いになるので、3132二を引き抜いて、そっとお置きになって、右近(うこん)をお起こしになる。この人も怖がっている様子で、参り寄った。「渡殿にいる宿直人を起こして、『紙燭(ししょく)をつけて参れ』と言いなさい」とおっしゃると、「どうして行けましょうか。暗くて」と言うので、「ああ、子供みたいな」と、ちょっとお笑いになって、手をお叩き(たたき)になると、こだまが応える(こたえる)音、まことに気味が悪い。誰も聞きつけないで参上しないので、この女君は、ひどくふるえ102214三て、どうしてよいか分からなく思っている。汗もびっしょりになって、正気を失った様子である。「むやみにお怖がりあそばすご性質ですから、どんなにかお怖がりのことでしょうか」と、右近(うこん)も申し上げる。「ほんとうにか弱くて、昼も空ばかり見ていたものだな、気の毒に」とお思いになって、「わたしが、誰かを起こそう。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 [第四段 (22)夜半、もののけ現われる(あらわれる)] 宵を過ぎるころ、少し寝入りなさった頃に、おん枕上に、とても美しそうな女が座って、「わたしがあなたをとても素晴らしいとお慕い申し上げているそのわたしには、お訪ねもなさらず、このような、特に優れたところもない女を連れていらっしゃって、おかわいがりになさるのは、まことに癪(しゃく)にさわり辛い(づらい)」と言って、自分のお側(おそば)の人を引き起こそうとしているる、と御覧になる。魔物に襲われる気持ちがして、目をお覚ましになると、火も消えていた。気持ち悪くお思いになるので、太刀(たち)を引き抜いて、そっとお置きになって、右近(うこん)をお起こしになる。この人も怖がっている様子で、参り寄った。「渡殿にいる宿直人を起こして、『紙燭(ししょく)をつけて参れ』と言いなさい」とおっしゃると、「どうして行けましょうか。暗くて」と言うので、「ああ、子供みたいな」と、ちょっとお笑いになって、手をお叩き(たたき)になると、こだまが応える(こたえる)音、まことに気味が悪い。誰も聞きつけないで参上しないので、この女君は、ひどくふるえ脅え(おびえ)て、どうしてよいか分からなく思っている。汗もびっしょりになって、正気を失った様子である。「むやみにお怖がりあそばすご性質ですから、どんなにかお怖がりのことでしょうか」と、右近(うこん)も申し上げる。「ほんとうにか弱くて、昼も空ばかり見ていたものだな、気の毒に」とお思いになって、「わたしが、誰かを起こそう。 |