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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 [第三段 なにがしの院に移る] (21)「こんなにまでご2261322140五でいられるのは、魅力的で、きっとそうに違いない様子なのだろう」と推量するにつけても、「自分がうまく言い寄ろうと思えばできたのを、お譲り申して、なんと寛大なことよ」などと、2216.5142四なことを考えている。譬えよ(たとえよ)うもなく静かな夕方の空をお眺めになって、奥の方は暗く何となく気味が悪いと、女は思っているので、端の簾(すだれ)を上げて、添い臥し(ぶし)ていらっしゃる。夕映えのお顔を互いに見交わして、女も、このような出来事を、意外に不思議な気持ちがする一方で、すべての4114412三を忘れて、少しずつ打ち解けていく様子は、実にかわいい。ぴったりとお側(おそば)に一日中添ったままで、何かをとても怖がっている様子は、子供っぽくいじらしい。格子を早くお下ろしになって、大殿油を点灯させて、「すっかり深い仲となったご様子でいて、依然として心の中に隠し事をなさっているのが辛い」と、お恨みになる。「主上には、どんなにかお探しあそばしているだろうから、人々はどこを探しているだろうか」と、思いをおはせになって、また一方では、「不思議な気持ちだ。六条辺りでも、どんなにお思い悩んでいらっしゃることだろう。3124111三れることも、辛いことだし、もっともなことだ」と、おいたわしい方としては、まっさきにお思い出し申し上げなさる。無心に向かい合って座っているのを、かわいいとお思いになるにつれて、「あまり思慮深く、312201三する者までが息が33111131三ようなご様子を、少し取り除きたいものだ」と、ついご比較されるのであった。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 [第三段 なにがしの院に移る](21)「こんなにまでご執心でいられるのは、魅力的で、きっとそうに違いない様子なのだろう」と推量するにつけても、「自分がうまく言い寄ろうと思えばできたのを、お譲り申して、なんと寛大なことよ」などと、失敬なことを考えている。譬えよ(たとえよ)うもなく静かな夕方の空をお眺めになって、奥の方は暗く何となく気味が悪いと、女は思っているので、端の簾(すだれ)を上げて、添い臥し(そいぶし)ていらっしゃる。夕映えのお顔を互いに見交わして、女も、このような出来事を、意外に不思議な気持ちがする一方で、すべての嘆きを忘れて、少しずつ打ち解けていく様子は、実にかわいい。ぴったりとお側(おそば)に一日中添ったままで、何かをとても怖がっている様子は、子供っぽくいじらしい。格子を早くお下ろしになって、大殿油を点灯させて、「すっかり深い仲となったご様子でいて、依然として心の中に隠し事をなさっているのが辛い」と、お恨みになる。「主上には、どんなにかお探しあそばしているだろうから、人々はどこを探しているだろうか」と、思いをおはせになって、また一方では、「不思議な気持ちだ。六条辺りでも、どんなにお思い悩んでいらっしゃることだろう。怨ま(うらま)れることも、辛いことだし、もっともなことだ」と、おいたわしい方としては、まっさきにお思い出し申し上げなさる。無心に向かい合って座っているのを、かわいいとお思いになるにつれて、「あまり思慮深く、対座する者までが息が詰る(つまる)ようなご様子を、少し取り除きたいものだ」と、ついご比較されるのであった。 |