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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 [第三段 なにがしの院に移る] (20)「気味悪そうになってしまった所だね。いくら何でも、1042二などもわたしならきっと見逃すだろう」とおっしゃる。お顔は依然として隠していらっしゃるが、女がとても辛いと思っているので、「なるほど、これ程深い仲になって隠しているようなのも、男女のあるべきさまと違っている」とお思いになって、「夕べの露を待って花開いて顔をお見せするのは道で出逢っ(であっ)た縁からなのですよ、露の光はどうですか」とおっしゃると、流し目に見やって、「光11141121234五いると見ました夕顔の上露(こうろ)はたそがれ時の見間違いでした」とかすかに言う。おもしろいとお思いになる。なるほど、うちとけていらっしゃるご様子は、またとなく、場所が場所ゆえ、いっそう不吉なまでにお美しくお見えになる。「いつまでも隠していらっしゃる辛さに、112413423四まいと思っていたが。せめて今からでもお名乗り下さい。とても気味が悪い」とおっしゃるが、「海人(あま)の子なので」と言って、依然としてうちとけない態度は、とても11114三過ぎている。「それでは、これも『われから』のようだ」と、3124112三また一方では1133311120213五語り合いながら、一日お過ごしになる。惟光(これみつ)が、お探し申して、お菓子などを差し上げさせる。右近(うこん)が文句言うことは、やはり気の毒なので、お側(おそば)に伺候(しこう)することもできない。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 [第三段 なにがしの院に移る](20)「気味悪そうになってしまった所だね。いくら何でも、鬼などもわたしならきっと見逃すだろう」とおっしゃる。お顔は依然として隠していらっしゃるが、女がとても辛いと思っているので、「なるほど、これ程深い仲になって隠しているようなのも、男女のあるべきさまと違っている」とお思いになって、「夕べの露を待って花開いて顔をお見せするのは道で出逢っ(であっ)た縁からなのですよ、露の光はどうですか」とおっしゃると、流し目に見やって、「光輝いていると見ました夕顔の上露(こうろ)はたそがれ時の見間違いでした」とかすかに言う。おもしろいとお思いになる。なるほど、うちとけていらっしゃるご様子は、またとなく、場所が場所ゆえ、いっそう不吉なまでにお美しくお見えになる。「いつまでも隠していらっしゃる辛さに、顕す(あらわす)まいと思っていたが。せめて今からでもお名乗り下さい。とても気味が悪い」とおっしゃるが、「海人(あま)の子なので」と言って、依然としてうちとけない態度は、とても甘え過ぎている。「それでは、これも『われから』のようだ」と、怨み(うらみ)また一方では睦まじく(むつまじく)語り合いながら、一日お過ごしになる。惟光(これみつ)が、お探し申して、お菓子などを差し上げさせる。右近(うこん)が文句言うことは、やはり気の毒なので、お側(おそば)に伺候することもできない。 |