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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 六条の貴婦人の物語 初秋の物語(17)この世だけでない来世の約束などまで相手に期待させていらっしゃるので、気を許す心根などが、不思議に普通と違って、1234113231四女とも思われないので、他人がどう思うかを慮る(おもんぱかる)こともおできになれず、右近(うこん)を召し出し(めしいだし)て、随身を呼ばせなさって、お車を引き入れさせなさる。この家の女房たちも、このようなお気持ちが並大抵でないのが分かるので、不安に思いながらも、12312三をかけ申していた。夜明けも近くなってしまった。4213440130四の声などは聞こえないで、御嶽(みたけ)精進であろうか、ただ老人めいた声で礼拝するのが聞こえる。立ったり座ったりの様子、難儀そうに勤行する。たいそうしみじみと、「朝の露と違わないはかないこの世を、何を欲張りわが身の利益を祈るのだろうか」と、お聞きになる。「南無当来導師、弥勒菩薩(みろくぼさつ)」と言って拝んでいるようだ。「あれを、お聞きなさい。この世だけとは思っていないのだね」と、しみじみと感じられて、「優婆(ばば)塞(せき)が勤行しているのを道しるべにして124224三にも深い約束に背かないで下さい」長生殿の昔の例は4140142三が悪いので、翼を交そ(かわそ)うとは言わずに、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が出現する未来までの愛を約束なさる。そのような長いお約束とは、まことに大げさである。「前世の宿縁の33314121四が身につまされるので来世まではとても頼りかねます」このような返歌のし方なども、実のところ、心細いようである。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 六条の貴婦人の物語 初秋の物語(17)この世だけでない来世の約束などまで相手に期待させていらっしゃるので、気を許す心根などが、不思議に普通と違って、世慣れた女とも思われないので、他人がどう思うかを慮る(おもんぱかる)こともおできになれず、右近(うこん)を召し出し(めしいだし)て、随身を呼ばせなさって、お車を引き入れさせなさる。この家の女房たちも、このようなお気持ちが並大抵でないのが分かるので、不安に思いながらも、期待をかけ申していた。夜明けも近くなってしまった。鶏の声などは聞こえないで、御嶽(みたけ)精進であろうか、ただ老人めいた声で礼拝するのが聞こえる。立ったり座ったりの様子、難儀そうに勤行する。たいそうしみじみと、「朝の露と違わないはかないこの世を、何を欲張りわが身の利益を祈るのだろうか」と、お聞きになる。「南無当来導師、弥勒菩薩(みろくぼさつ)」と言って拝んでいるようだ。「あれを、お聞きなさい。この世だけとは思っていないのだね」と、しみじみと感じられて、「優婆(ばば)塞(せき)が勤行しているのを道しるべにして来世にも深い約束に背かないで下さい」長生殿の昔の例は縁起が悪いので、翼を交そ(かわそ)うとは言わずに、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が出現する未来までの愛を約束なさる。そのような長いお約束とは、まことに大げさである。「前世の宿縁の拙(つたな)さが身につまされるので来世まではとても頼りかねます」このような返歌のし方なども、実のところ、心細いようである。 |