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第一章 夕顔の物語 夏の物語 第三章 六条の貴婦人の物語 初秋の物語(11)振り返りなさって、隅の間の高欄に、少しの間、お座らせになった。きちんとした態度、黒髪のかかり具合、見事なものよ、と御覧になる。「咲いている花に心を移したという風評は憚ら(はばから)れますが。やはり手折らずには素通りしがたい今朝(けさ)の朝顔の花です。どうしよう」と言って、手を捉えなさると、まことに555二たふうに素早く、「朝霧の101132131三間も待たないでお帰りになるご様子なので、朝顔の花に心を止めていないものと思われます」と、主人のことにしてお返事申し上げる。かわいらしい男(おの)134124223三で、姿が目安く、格別の格好をしているのが、指貫(さしぬき)の2330二を、露っぽく濡らし(ぬらし)、花の中に入り混じって、朝顔を手折って差し上げるところなど、絵に描き(かき)たいほどである。通り一遍に、ちょっと拝見する人でさえ、心を止め申さない者はない。物の情趣を解さ(ほぐさ)ない山人も、花の下では、やはり休息したいものではないか、このお美しさを拝する人々は、身分身分に応じて、自分のかわいいと思う娘を、ご奉公に差し上げたいと願い、あるいは、恥ずかしくないと思う姉妹などを持っている人は、下仕えであっても、やはり、このお方の側にご1103203四させたいと、思わない者はいなかった。まして、何かの折のお言葉でも、優しいお姿を拝する人で、少し物の情趣を14424131三人は、どうしていい11144140三にお思い申し上げよう。一日中くつろいだご様子でおいでにならないのを、物足りなく不満なことと思うようである。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第三章 六条の貴婦人の物語 初秋の物語(11)振り返りなさって、隅の間の高欄に、少しの間、お座らせになった。きちんとした態度、黒髪のかかり具合、見事なものよ、と御覧になる。「咲いている花に心を移したという風評は憚ら(はばから)れますが。やはり手折らずには素通りしがたい今朝(けさ)の朝顔の花です。どうしよう」と言って、手を捉えなさると、まことに馴れ(なれ)たふうに素早く、「朝霧の晴れる間も待たないでお帰りになるご様子なので、朝顔の花に心を止めていないものと思われます」と、主人のことにしてお返事申し上げる。かわいらしい男童で、姿が目安く、格別の格好をしているのが、指貫(さしぬき)の裾を、露っぽく濡らし(ぬらし)、花の中に入り混じって、朝顔を手折って差し上げるところなど、絵に描き(かき)たいほどである。通り一遍に、ちょっと拝見する人でさえ、心を止め申さない者はない。物の情趣を解さ(ほぐさ)ない山人も、花の下では、やはり休息したいものではないか、このお美しさを拝する人々は、身分身分に応じて、自分のかわいいと思う娘を、ご奉公に差し上げたいと願い、あるいは、恥ずかしくないと思う姉妹などを持っている人は、下仕えであっても、やはり、このお方の側にご奉公させたいと、思わない者はいなかった。まして、何かの折のお言葉でも、優しいお姿を拝する人で、少し物の情趣を解せる人は、どうしていい加減にお思い申し上げよう。一日中くつろいだご様子でおいでにならないのを、物足りなく不満なことと思うようである。 |