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第一章 夕顔の物語 夏の物語 [第二段 数日後、夕顔の宿の報告](9)任国の話などを申すので、「伊予(いよ)の湯の湯桁はいくつあるか」と、お尋ねしたくお思いになるが、わけもなく24222三できなくて、お心の中に思い出されることもさまざまである。「実直な年配者を、このように思うのも、いかにも馬鹿らしく後ろ暗いことであるよ。いかにも、これが、20214020261.53五ならざる不埒(ふらち)なことだった」と、左馬頭の326132013五をお思い出しになって、気の毒なので、「冷淡な気持ちは憎いが、夫のためには、13016.5230三だ」とお考え直しになる。「娘を適当な人に4140二づけて、北の方を連れて下るつもりだ」と、お聞きになると、あれやこれやと気持ちが落ち着かなくて、「もう一度逢う(あう)ことができないものだろうか」と、小君に相談なさるが、相手が同意したようなことでさえ、軽々とお忍びになるのは難しいのに、まして、相応しく(ふさわしく)ない関係と思って、今さら見苦しかろうと、思い313334三いた。そうは言っても、すっかりお忘れになられることも、まことにつまらなく、嫌にちがいないことと思って、しかるべき折々のお返事など、親しく度々差し上げては、何気ない書きぶりに詠み込まれた返歌は、不思議とかわいらしげに、お目に止まるようなことを書き加えなどして、恋しく思わずにはいられない人の様子なので、冷淡で癪(しゃく)な女と思うものの、忘れがたい人とお思いになっている。もう一人は、たとえ夫が決まったとしても、変わらず心を許しそうに見えたのを当てにして、いろいろとお聞きになるが、お心も動かさないのであった。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第二段 数日後、夕顔の宿の報告] (9)任国の話などを申すので、「伊予(いよ)の湯の湯桁はいくつあるか」と、お尋ねしたくお思いになるが、わけもなく正視できなくて、お心の中に思い出されることもさまざまである。「実直な年配者を、このように思うのも、いかにも馬鹿らしく後ろ暗いことであるよ。いかにも、これが、尋常ならざる不埒(ふらち)なことだった」と、左馬頭の忠告をお思い出しになって、気の毒なので、「冷淡な気持ちは憎いが、夫のためには、立派だ」とお考え直しになる。「娘を適当な人に縁づけて、北の方を連れて下るつもりだ」と、お聞きになると、あれやこれやと気持ちが落ち着かなくて、「もう一度逢う(あう)ことができないものだろうか」と、小君に相談なさるが、相手が同意したようなことでさえ、軽々とお忍びになるのは難しいのに、まして、相応しく(ふさわしく)ない関係と思って、今さら見苦しかろうと、思い絶っていた。そうは言っても、すっかりお忘れになられることも、まことにつまらなく、嫌にちがいないことと思って、しかるべき折々のお返事など、親しく度々差し上げては、何気ない書きぶりに詠み込まれた返歌は、不思議とかわいらしげに、お目に止まるようなことを書き加えなどして、恋しく思わずにはいられない人の様子なので、冷淡で癪(しゃく)な女と思うものの、忘れがたい人とお思いになっている。もう一人は、たとえ夫が決まったとしても、変わらず心を許しそうに見えたのを当てにして、いろいろとお聞きになるが、お心も動かさないのであった。 |