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第一章 夕顔の物語 夏の物語 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う](6)まだ見たことのないお姿であったが、まことにはっきりと2322133四されなさるおん横顔を見過ごさないで、さっそく詠みかけたのに、返歌を下さらないで時間が過ぎたので、何となく体裁悪く思っていたところに、このようにわざわざ来たというふうだったので、いい気になって、「何と申し上げよう」などと言い合っているようだが、生意気なと思って、随身は1221140三した。御前駆の松明(たいまつ)を弱く照らして、とてもひっそりとお出になる。半蔀(はじとみ)は既に下ろされていた。隙間隙間から見える灯火の明りは、蛍よりもさらに112311三でしみじみとした思いである。お目当ての所では、木立や241402012四などが、世間一般の所とは違い、とてもゆったりと奥ゆかしく住んでいらっしゃる。気の置けるご様子などが、他(ほか)の人とは格別なので、先程の垣根の女などはお思い出されるはずもない。翌朝、少しお寝過ごしなさって、日が差し出るころにお帰りになる。朝帰りの姿は、なるほど世間の人がお110114二申し上げるようなのも、ごもっともなお美しさであった。今日もこの半蔀(はじとみ)の前をお通り過ぎになる。今までにも通り過ぎなさった131130三であるが、わずかちょっとしたことでお気持ちを惹か(ひか)れて、「どのような女が住んでいる家なのだろうか」と思っては、行き帰りにお目が止まるのであった。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う] (6)まだ見たことのないお姿であったが、まことにはっきりと推察されなさるおん横顔を見過ごさないで、さっそく詠みかけたのに、返歌を下さらないで時間が過ぎたので、何となく体裁悪く思っていたところに、このようにわざわざ来たというふうだったので、いい気になって、「何と申し上げよう」などと言い合っているようだが、生意気なと思って、随身は帰参した。御前駆の松明(たいまつ)を弱く照らして、とてもひっそりとお出になる。半蔀(はじとみ)は既に下ろされていた。隙間隙間から見える灯火の明りは、蛍よりもさらに微か(かすか)でしみじみとした思いである。お目当ての所では、木立や前栽(せんざい)などが、世間一般の所とは違い、とてもゆったりと奥ゆかしく住んでいらっしゃる。気の置けるご様子などが、他(ほか)の人とは格別なので、先程の垣根の女などはお思い出されるはずもない。翌朝、少しお寝過ごしなさって、日が差し出るころにお帰りになる。朝帰りの姿は、なるほど世間の人がお褒め申し上げるようなのも、ごもっともなお美しさであった。今日(きょう)もこの半蔀(はじとみ)の前をお通り過ぎになる。今までにも通り過ぎなさった辺りであるが、わずかちょっとしたことでお気持ちを惹か(ひか)れて、「どのような女が住んでいる家なのだろうか」と思っては、行き帰りにお目が止まるのであった。 |