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第一章 夕顔の物語 夏の物語 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う](5)とお尋ねになると、いつもの厄介なお1324二とは思うが、そうは申し上げず、「この五、六日この家(うち)におりますが、病人のことを心配して看護しております時なので、隣のことは聞けません」などと、無愛想に申し上げるので、「気に入らないと思っているな。けれど、この扇について、尋ねなければならない理由がありそうに思われるのですよ。やはり、この1121342四の事情を知っていそうな者を呼んで尋ねよ」とおっしゃるので、入って行って、この家の管理人の男を呼んで尋ねる。「揚名介である人の家だそうでございました。男は地方に下向して、妻は若く派手好きで、その221112三などが宮仕え人として行き来している、と申します。詳しいことは、下人にはよく分からないのでございましょう」と申し上げる。「それでは、その宮仕(みやづかえ)人のようだ。得意顔になれなれしく詠みかけてきたものよ」と、「きっと興覚めしそうな身分ではなかろうか」とお思いになるが、名指して詠みかけてきた気持ちが、憎からず1122320022四がたいのが、例によって、こういった方面には、重々しくないご2261.53222140五なのであろう。御畳紙(たとう)にすっかり別筆にお書きになって、「もっと近寄って誰ともはっきり見たらどうでしょう3130141132四時にぼんやりと見えた花の夕顔を」先程の御随身をお遣わしになる。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う] (5)とお尋ねになると、いつもの厄介なお癖とは思うが、そうは申し上げず、「この五、六日この家(うち)におりますが、病人のことを心配して看護しております時なので、隣のことは聞けません」などと、無愛想に申し上げるので、「気に入らないと思っているな。けれど、この扇について、尋ねなければならない理由がありそうに思われるのですよ。やはり、この界隈(かいわい)の事情を知っていそうな者を呼んで尋ねよ」とおっしゃるので、入って行って、この家の管理人の男を呼んで尋ねる。「揚名介である人の家だそうでございました。男は地方に下向して、妻は若く派手好きで、その姉妹などが宮仕え人として行き来している、と申します。詳しいことは、下人にはよく分からないのでございましょう」と申し上げる。「それでは、その宮仕(みやづかえ)人のようだ。得意顔になれなれしく詠みかけてきたものよ」と、「きっと興覚めしそうな身分ではなかろうか」とお思いになるが、名指して詠みかけてきた気持ちが、憎からず見過ごしがたいのが、例によって、こういった方面には、重々しくないご性分なのであろう。御畳紙(たとう)にすっかり別筆にお書きになって、「もっと近寄って誰ともはっきり見たらどうでしょう黄昏時(たそがれどき)にぼんやりと見えた花の夕顔を」先程の御随身をお遣わしになる。 |