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第一章 夕顔の物語 夏の物語 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う](4)源氏の君は、とてもしみじみと感じられて、「幼かったころに、かわいがってくれるはずの方々が亡くなってしまわれた後は、1233213四してくれる人々はたくさんいたようでしたが、親しく甘えられる人は、他(ほか)にいなく思われました。成人して後は、きまりがあるので、朝に夕にというようにもお目にかかれず、思い通りにお訪ね申すことはなかったが、やはり久しくお会いしていない時は、心細く思われましたが、『2114二られない別れなどはあってほしくないものだ』と思われます」と、懇ろ(ねもころ)にお話なさって、お拭いになった袖の匂いも、とても辺り2411122三と薫り満ちているので、なるほど、ほんとうに考えてみれば、並々の人でないご運命であったと、尼君を非難がましく見ていた子供たちも、皆涙ぐんだ。修法などを、再び重ねて始めるべき事などをお命じあそばして、お立ちになろうとして、惟光(これみつ)に紙燭(ししょく)を持って来させて、先程の103142三を御覧になると、使い4112422三た主人の移り香が、とても深く染み込んで慕わしくて、美しく書き流してある。「当て23213061.53五に貴方(あなた)さまでしょうかと思います白露の光を加えて美しい夕顔の花は」誰とも分からないように書き紛らわしているのも、上品に教養が見えるので、とても意外に、興味を惹か(ひか)れなさる。惟光(これみつ)に、「この家の西にある家にはどんな者が住んでいるのか。尋ね聞いているか」
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う] (4)源氏の君は、とてもしみじみと感じられて、「幼かったころに、かわいがってくれるはずの方々が亡くなってしまわれた後は、養育してくれる人々はたくさんいたようでしたが、親しく甘えられる人は、他(ほか)にいなく思われました。成人して後は、きまりがあるので、朝に夕にというようにもお目にかかれず、思い通りにお訪ね申すことはなかったが、やはり久しくお会いしていない時は、心細く思われましたが、『避けられない別れなどはあってほしくないものだ』と思われます」と、懇ろ(ねもころ)にお話なさって、お拭いになった袖の匂いも、とても辺り狭しと薫り満ちているので、なるほど、ほんとうに考えてみれば、並々の人でないご運命であったと、尼君を非難がましく見ていた子供たちも、皆涙ぐんだ。修法などを、再び重ねて始めるべき事などをお命じあそばして、お立ちになろうとして、惟光(これみつ)に紙燭(ししょく)を持って来させて、先程の扇を御覧になると、使い慣らした主人の移り香が、とても深く染み込んで慕わしくて、美しく書き流してある。「当て推量に貴方(あなた)さまでしょうかと思います白露の光を加えて美しい夕顔の花は」誰とも分からないように書き紛らわしているのも、上品に教養が見えるので、とても意外に、興味を惹か(ひか)れなさる。惟光(これみつ)に、「この家の西にある家にはどんな者が住んでいるのか。尋ね聞いているか」 |