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第一章 夕顔の物語 夏の物語 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う](2)「遠方の人にお尋ねする」と1024013020040五をおっしゃると、御随身がひざまずいて、「あの白く咲いている花を、夕顔と申します。花の名は人並のようでいて、このような2121222四垣根に咲くのでございます」と申し上げる。なるほどとても小さい家が多くて、むさ苦しそうな界隈(かいわい)で、この家もかの家も、見苦しくちょっと傾いて、頼りなさそうな軒の端などに1012二まつわっているのを、「気の毒な花の運命よ。一房手折ってまいれ」とおっしゃるので、この押し上げてある門から入って折る。そうは言うものの、しゃれた遣戸(やりど)口に、黄色い生絹の単重袴(はかま)を、長く着こなした女童で、かわいらしげな子が出て来て、ちょっと招く。白い扇でたいそう香を薫き(たき)しめたのを、「これに載せて差し上げなさいね。枝も風情な(なさけな)さそうな花ですもの」と言って与えたところ、門を開けて惟光(これみつ)朝臣(あそん)が出て来たのを取り次がせて、差し上げさせる。「鍵を置き忘れまして、大変にご114213413四をお掛けいたしました。どなた様と分別申し上げられる者もおりませぬ辺りですが、ごみどみした大路にお立ちあそばして」と10134221三申し上げる。 車を引き入れて、お下り(おさがり)になる。惟光(これみつ)の兄の阿闍梨(あじゃり)や、娘11320二の三河守(みかわのかみ)、娘などが、寄り集まっているところに、このようにお越しあそばされたお礼を、この上ないことと恐縮して申し上げる。 尼君も起き上がって、
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第一段 源氏、五条の大弐乳母(うば)を見舞う] (2)「遠方の人にお尋ねする」と独り言をおっしゃると、御随身がひざまずいて、「あの白く咲いている花を、夕顔と申します。花の名は人並のようでいて、このような賤しい(いやしい)(いやしい)垣根に咲くのでございます」と申し上げる。なるほどとても小さい家が多くて、むさ苦しそうな界隈(かいわい)で、この家もかの家も、見苦しくちょっと傾いて、頼りなさそうな軒の端などに這いまつわっ(はいまつわっ)ているのを、「気の毒な花の運命よ。一房手折ってまいれ」とおっしゃるので、この押し上げてある門から入って折る。そうは言うものの、しゃれた遣戸(やりど)口に、黄色い生絹の単重袴(はかま)を、長く着こなした女童で、かわいらしげな子が出て来て、ちょっと招く。白い扇でたいそう香を薫き(たき)しめたのを、「これに載せて差し上げなさいね。枝も風情な(なさけな)さそうな花ですもの」と言って与えたところ、門を開けて惟光(これみつ)朝臣(あそん)が出て来たのを取り次がせて、差し上げさせる。「鍵を置き忘れまして、大変にご迷惑をお掛けいたしました。どなた様と分別申し上げられる者もおりませぬ辺りですが、ごみどみした大路にお立ちあそばして」とお詫び(おわび)申し上げる。 車を引き入れて、お下り(おさがり)になる。惟光(これみつ)の兄の阿闍梨(あじゃり)や、娘婿の三河守(みかわのかみ)、娘などが、寄り集まっているところに、このようにお越しあそばされたお礼を、この上ないことと恐縮して申し上げる。 尼君も起き上がって、 |