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[第五段 源氏、空蝉(うつせみ)の脱ぎ捨てた衣を持って帰る](11)小君を、お車の後ろに乗せて、二条院にお帰りになった。出来事をおっしゃって、「123332三であった」と14223333四なさって、あの女の気持ちを爪弾き(つまはじき)をしいしいお恨みなさる。気の毒で、何とも申し上げられない。「とてもひどく嫌っておいでのようなので、わが身もすっかり嫌になってしまった。どうして、116.534三下さらないまでも、親しい返事ぐらいはして下さらないのだろうか。伊予(いよ)介(すけ)にも及ばないわが身だ」などと、気にくわないと思っておっしゃる。先程の小袿(こうちぎ)を、そうは言うものの、555五の下に引き入れて、お寝みになった。小君をお側(おそば)に寝かせて、いろいろと恨み言をいい、かつまた、優しくお話しなさる。「おまえは、かわいいけれど、つれない女の弟だと思うと、いつまでもかわいがってやれるともわからない」と111202114三におっしゃるので、とても辛いと思っている。しばらくの間、横になっていられたが、お眠りになれない。御硯(すずり)を急に用意させて、わざわざのお手紙ではなく、畳紙(たとう)に手習いのように思うままに書き流しなさる。「蝉(せみ)が11124二を脱ぐように、衣を脱ぎ捨てて逃げ去っていったあなたですが、やはり人柄が懐かしく思われます」とお書きになったのを、懐に入れて持っていた。あの女もどう思っているだろうかと、気の毒に思うが、いろいろとお思い返しなさって、お言伝(ことづて)てもない。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 [第五段 源氏、空蝉(うつせみ)の脱ぎ捨てた衣を持って帰る] (11)小君を、お車の後ろに乗せて、二条院にお帰りになった。出来事をおっしゃって、「幼稚であった」と軽蔑(けいべつ)なさって、あの女の気持ちを爪弾き(つまはじき)をしいしいお恨みなさる。気の毒で、何とも申し上げられない。「とてもひどく嫌っておいでのようなので、わが身もすっかり嫌になってしまった。どうして、逢っ)て下さらないまでも、親しい返事ぐらいはして下さらないのだろうか。伊予(いよ)介(すけ)にも及ばないわが身だ」などと、気にくわないと思っておっしゃる。先程の小袿(こうちぎ)を、そうは言うものの、お召物の下に引き入れて、お寝みになった。小君をお側(おそば)に寝かせて、いろいろと恨み言をいい、かつまた、優しくお話しなさる。「おまえは、かわいいけれど、つれない女の弟だと思うと、いつまでもかわいがってやれるともわからない」と真面目(まじめ)におっしゃるので、とても辛いと思っている。しばらくの間、横になっていられたが、お眠りになれない。御硯(すずり)を急に用意させて、わざわざのお手紙ではなく、畳紙(たとう)に手習いのように思うままに書き流しなさる。「蝉(せみ)が殻を脱ぐように、衣を脱ぎ捨てて逃げ去っていったあなたですが、やはり人柄が懐かしく思われます」とお書きになったのを、懐に入れて持っていた。あの女もどう思っているだろうかと、気の毒に思うが、いろいろとお思い返しなさって、お言伝(ことづて)てもない。 |