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[第二段 源氏、再度、紀伊(きい)守(まもる)邸へ] (2)子供心に、どのような機会にと待ち続けていると、紀伊(きい)守(かみ)が任国へ下ったりなどして、女たちがくつろいでいる夕闇頃の道がはっきりしないのに11114213234四、自分の車で、お連れ申し上げる。この子も子供なので、どうだろうかとご心配になるが、そう12233261.53五にも構えていらっしゃれなかったので、目立たない服装で、門などに鍵がかけられる前にと、急いでいらっしゃる。人目のない方から引き入れて、お降ろし申し上げる。子供なので、宿直人なども特別に気をつかって機嫌をとらず、安心である。東の妻戸の側に、お立たせ申し上げて、自分は南の隅の間から、格子を叩い(たたい)て声を上げて入った。御達(おたっし)は、「丸見えです」と言っているようだ。「どうして、こう1332三のに、この格子を下ろしておられるの」と尋ねると、「昼から、西の御方(おかた)がお渡りあそばして、碁をお打ちあそばしていらっしゃいます」と言う。そうして向かい合っているのを見たい、と思って、静かに歩を進めて、簾(すだれ)の隙間にお入りになった。先程入った格子はまだ2211434三ないので、隙間が見えるので、近寄って西の方を見通しなさると、こちら側の際に立ててある22161.53222四は、端の方が3131111132四ているうえに、目隠しのはずの几帳(きちょう)なども、暑いからであろうか、うち掛けてあって、とてもよく覗き見る(のぞきみる)ことができる。 ①まぎれて、 ② ゆうちょうに構える、 ③どうして、こうあついのに、格子を下ろしておられるの、 ④しめて、 ⑤びょうぶ、 ⑥たたまれ、 小説文,パズル,ゲーム,数列,解読,漢字,暗記,脳トレ 二三四五六61 61.5 60.5 16.5 [第三段 空蝉(うつせみ)と軒端荻(おぎ)、碁を打つ](3)灯火が近くに4012022三てある。母屋(おもや)の中柱に横向きになっている人が自分の思いを寄せている人かと、まっさきに目をお留めになると、濃い1131242112四の綾(あや)の単重襲(かさね)のようである。何であろうか、その上に着て、頭の1116.5203四は小さく小柄な人で、見栄えのしない姿をしているのだ。顔などは、向かい合っている人などにも、特に見えないように気をつけている。手つきも痩せ痩せした感じで、ひどく袖の中に引き込めているようだ。もう一人は、東向きなので、すっかり見える。白い羅(うすもの)の単衣(ひとえ)に、二藍の小袿(こうちぎ)のようなものを、しどけなく引っ掛けて、紅の袴(はかま)の2022102120四を結んでいる際まで胸を露わ(あらわ)にして、嗜み(たしなみ)のない恰好(かっこう)である。とても色白で美しく、まるまると太って、大柄の背の高い人で、頭の恰好(かっこう)や額の具合は、くっきりとしていて、目もと口もとが、とても121261.53五があり、はなやかな容貌である。髪はとてもふさふさとして、長くはないが、31132二具合や、肩のところがすっきりとして、どこをとっても悪いところなく、美しい女だ、と見えた。道理で親がこの上なくかわいがることだろうと、興味をもって御覧になる。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 光る源氏十七歳夏の物語(1) [第二段 源氏、再度、紀伊(きい)守(まもる)邸へ] (2)子供心に、どのような機会にと待ち続けていると、紀伊(きい)守(かみ)が任国へ下ったりなどして、女たちがくつろいでいる夕闇頃の道がはっきりしないのに紛れて、自分の車で、お連れ申し上げる。この子も子供なので、どうだろうかとご心配になるが、そう悠長にも構えていらっしゃれなかったので、目立たない服装で、門などに鍵がかけられる前にと、急いでいらっしゃる。人目のない方から引き入れて、お降ろし申し上げる。子供なので、宿直人なども特別に気をつかって機嫌をとらず、安心である。東の妻戸の側に、お立たせ申し上げて、自分は南の隅の間から、格子を叩い(たたい)て声を上げて入った。御達(おたっし)は、「丸見えです」と言っているようだ。「どうして、こう暑いのに、この格子を下ろしておられるの」と尋ねると、「昼から、西の御方(おかた)がお渡りあそばして、碁をお打ちあそばしていらっしゃいます」と言う。そうして向かい合っているのを見たい、と思って、静かに歩を進めて、簾(すだれ)の隙間にお入りになった。先程入った格子はまだ閉めてないので、隙間が見えるので、近寄って西の方を見通しなさると、こちら側の際に立ててある屏風(びょうぶ)は、端の方が畳まれているうえに、目隠しのはずの几帳(きちょう)なども、暑いからであろうか、うち掛けてあって、とてもよく覗き見る(のぞきみる)ことができる。お寝みになれないままには、「わたしは、このように人に憎まれたことはないのに、今晩、初めて辛いと男女の仲を知ったので、恥ずかしくて、生きて行けないような気持ちになってしまった」などとおっしゃると、涙まで流して臥し(ふし)ている。とてもかわいいとお思いになる。手触りから、ほっそりした小柄な体つきや、髪のたいして長くはなかった感じが似通っているのも、気のせいか愛しい(いとしい)。むやみにしつこく探し求めるのも、体裁悪いだろうし、本当に癪(しゃく)に障るとお思いになりながら夜を明かしては、いつものように側につきまとわせおっしゃることもない。夜の深いうちにお帰りになるので、この子は、たいそうお気の毒で、つまらないと思う。女も、大変に気がとがめると思うと、お手紙もまったくない。お懲りになったのだと思うにつけても、「このまま冷めておやめになってしまったら嫌な思いであろう。強引に困ったお振る舞いが絶えないのも嫌なことであろう。適当なところで、こうしてきりをつけたい」と思うものの、平静ではなく、物思いがちである。源氏の君は、気にくわないとお思いになる一方で、このままではやめられなくお心にかかり、体裁悪くまでお困りになって、小君に、「とても辛く、情けなくも思われるので、無理に忘れようとするが、思いどおりにならず苦しいのだよ。適当な機会を見つけて、逢えるように手立てせよ」とおっしゃり続けるので、やっかいに思うが、このような事柄でも、お命じになって使ってくださることは、嬉しく(うれしく)思われるのであった。 |