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[第四段 それから数日後] (41)ほのかに拝見した感じやご様子は、「本当に、並々の人ではなく素晴らしかった」と、思い出し申さずにはいられないが、「お気持ちにお20314三申しても、今さら何になることだろうか」などと、考え直すのであった。源氏の君は、お忘れになる時の間もなく、心苦しくも恋しくもお思い出しになる。悩んでいた様子などのいじらしさも、払い12314二ようもなく思い続けていらっしゃる。軽々しくひそかに隠れてお立ち寄りなさるのも、人目の多い所で、不都合な振る舞いを見せはしまいかと、相手にも気の毒である、と思案にくれていらっしゃる。例によって、内裏に何日もいらっしゃるころ、都合のよい方(かた)'311414三の日をお待ちになる。急に退出なさるふりをして、途中からお越しになった。紀伊(きい)守(かみ)は驚いて、先日の121130112203四を光栄に思い、恐縮し喜ぶ。小君には、昼から、「こうしようと思っている」とお約束なさっていた。朝に夕に連れ従えていらっしゃったので、201232三も、まっさきにお召しになっていた。女も、そのようなお手紙があったので、工夫をこらしなさるお気持ちのほどは、浅いものとは思われないが、そうだからといって、気を許して、みっともない様をお見せ申すのも、つまらなく、夢のようにして過ぎてしまった嘆きを、さらにまた味わおうとするのかと、思い乱れて、やはりこうしてお待ち受け申し上げることが気恥ずかしいので、小君が出て行った間に、「とても近いので、気が引けます。気分が悪いので、こっそりと肩腰を31311124四たりしたいので、少し離れた所でね」と言って、渡殿に、中将の君といった者が部屋(へや)を持っていた奥まった処(ところ)に、移ってしまった。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 光る源氏 十七歳夏の参議(宰相)兼近衛中将時代の物語 第二章 女性体験談 [[第三段 空蝉(うつせみ)の寝所に忍び込む] (41)ほのかに拝見した感じやご様子は、「本当に、並々の人ではなく素晴らしかった」と、思い出し申さずにはいられないが、「お気持ちにお応え(おこたえ)申しても、今さら何になることだろうか」などと、考え直すのであった。源氏の君は、お忘れになる時の間もなく、心苦しくも恋しくもお思い出しになる。悩んでいた様子などのいじらしさも、払い除けようもなく思い続けていらっしゃる。軽々しくひそかに隠れてお立ち寄りなさるのも、人目の多い所で、不都合な振る舞いを見せはしまいかと、相手にも気の毒である、と思案にくれていらっしゃる。例によって、内裏に何日もいらっしゃるころ、都合のよい方違え(かたたがえ)の日をお待ちになる。急に退出なさるふりをして、途中からお越しになった。紀伊(きい)守(かみ)は驚いて、先日の遣水(やりみず)を光栄に思い、恐縮し喜ぶ。小君には、昼から、「こうしようと思っている」とお約束なさっていた。朝に夕に連れ従えていらっしゃったので、今宵(こよい)も、まっさきにお召しになっていた。女も、そのようなお手紙があったので、工夫をこらしなさるお気持ちのほどは、浅いものとは思われないが、そうだからといって、気を許して、みっともない様をお見せ申すのも、つまらなく、夢のようにして過ぎてしまった嘆きを、さらにまた味わおうとするのかと、思い乱れて、やはりこうしてお待ち受け申し上げることが気恥ずかしいので、小君が出て行った間に、「とても近いので、気が引けます。気分が悪いので、こっそりと肩腰を叩か(たたか)せたりしたいので、少し離れた所でね」と言って、渡殿に、中将の君といった者が部屋(へや)を持っていた奥まった処(ところ)に、移ってしまった。 |