| ご来訪ありがとうございます。初めての方は「はじめに」をご覧ください。 変換表
[第四段 それから数日後] (39)そうして、五、六日が過ぎて、この子を連れて参上した。きめこまやかに美しいというのではないが、優美な姿をしていて、良家の子弟と見えた。1114412三入れて、とても親しくお話をなさる。子供心に、とても素晴らしく31322213四思う。姉君のことも詳しくお尋ねになる。答えられることはお答え申し上げなどして、こちらが恥ずかしくなるほどきちんとかしこまっているので、ちょっと言い出しにくい。けれど、とても上手(じょうず)にお話なさる。このようなことであったかと、ぼんやりと分かるのも、意外なことではあるが、子供心に深くも考えない。お手紙を持って来たので、女は、あまりのことに涙が出てしまった。弟がどう思っていることだろうかときまりが悪くて、そうは言っても、お手紙で顔を隠すように広げた。とてもたくさん書き連ねてあって、「夢が現実となったあの夜以来、再び逢える(むかえる)夜があろうかと嘆いているうちに目までが合わさらないで眠れない夜を幾日も送ってしまいました。眠れる夜がないので」などと、見たこともないほどの、素晴らしいご10216.52412四も、目も涙に曇って、1031101402四な運命がさらにつきまとう身の上を思い続けて臥せっ(ふせっ)てしまわれた。翌日、小君をお召しになっていたので、参上しますと言って、お返事をする。「このようなお手紙を見るような人はいません、と申し上げなさい」とおっしゃると、にこっと微笑ん(ほほえん)で、「人違いのようにはおっしゃらなかったのに。どうして、そのように申し上げられましょうか」と言うので、103122112四に思い、すっかりおっしゃられ、知らせてしまったのだ、と思うと、辛く思われること、この上ない。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 光る源氏 十七歳夏の参議(宰相)兼近衛中将時代の物語 第二章 女性体験談 [[第三段 空蝉(うつせみ)の寝所に忍び込む] (39)そうして、五、六日が過ぎて、この子を連れて参上した。きめこまやかに美しいというのではないが、優美な姿をしていて、良家の子弟と見えた。招き入れて、とても親しくお話をなさる。子供心に、とても素晴らしく嬉しく(うれしく)思う。姉君のことも詳しくお尋ねになる。答えられることはお答え申し上げなどして、こちらが恥ずかしくなるほどきちんとかしこまっているので、ちょっと言い出しにくい。けれど、とても上手(じょうず)にお話なさる。このようなことであったかと、ぼんやりと分かるのも、意外なことではあるが、子供心に深くも考えない。お手紙を持って来たので、女は、あまりのことに涙が出てしまった。弟がどう思っていることだろうかときまりが悪くて、そうは言っても、お手紙で顔を隠すように広げた。とてもたくさん書き連ねてあって、「夢が現実となったあの夜以来、再び逢える(むかえる)夜があろうかと嘆いているうちに目までが合わさらないで眠れない夜を幾日も送ってしまいました。眠れる夜がないので」などと、見たこともないほどの、素晴らしいご筆跡も、目も涙に曇って、不本意な運命がさらにつきまとう身の上を思い続けて臥せっ(ふせっ)てしまわれた。翌日、小君をお召しになっていたので、参上しますと言って、お返事を催促する。「このようなお手紙を見るような人はいません、と申し上げなさい」とおっしゃると、にこっと微笑ん(ほほえん)で、「人違いのようにはおっしゃらなかったのに。どうして、そのように申し上げられましょうか」と言うので、不愉快に思い、すっかりおっしゃられ、知らせてしまったのだ、と思うと、辛く思われること、この上ない。 |