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[第三段 空蝉(うつせみ)の寝所に忍び込む](38)人に言われぬお心には、とても胸痛く、文を通わす手立てさえないものをと、後ろ髪引かれる思いでお出になった。 お邸にお帰りになっても、すぐにもお寝みになれない。再び逢える手立てのないのが、自分以上に、あの女が悩んでいるであろう心の中は、どんなであろうかと、気の毒にご想像なさる。「特に優れた所はないが、見苦しくなく身嗜み(みだしなみ)もとりつくろっていた中の品の女であったな。何でもよく知っている人の言ったことは、なるほど」とうなずかれるのであった。最近は左大臣邸にばかりいらっしゃる。やはり、すっかりあれきり途絶えているので、思い悩んでいるであろうことが、気の毒にお心にかかって、心苦しく思い悩みなさって、紀伊(きい)守(かみ)を1011422三になった。「あの、先日の故中納言の子は、わたしに下さらないか。かわいらしげに見えたが。身近に使う者としたい。主上にも、わたしが差し上げたい」とおっしゃると、「とても1030132三多いお言葉でございます。姉に当たる人に仰せ言を申し聞かせてみましょう」と、申し上げるにつけても、どきりとなさるが、「その姉君は、そなたの弟をお持ちか」「いえ、ございません。この二年ほどは、こうして暮らしておりますが、父親の2203三と違ったと嘆いて、気も進まないでいるように、聞いております」「気の毒なことよ。まあまあの10261.53220140五であった人だ。本当に、1213061.53四が良いか」とおっしゃると、「悪くはございませんでしょう。304140三に致しておりますので、世間の言い草のとおり、親しくしておりません」と申し上げる。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 光る源氏 十七歳夏の参議(宰相)兼近衛中将時代の物語 第二章 女性体験談 [[第三段 空蝉(うつせみ)の寝所に忍び込む] (38)人に言われぬお心には、とても胸痛く、文を通わす手立てさえないものをと、後ろ髪引かれる思いでお出になった。 お邸にお帰りになっても、すぐにもお寝みになれない。再び逢える手立てのないのが、自分以上に、あの女が悩んでいるであろう心の中は、どんなであろうかと、気の毒にご想像なさる。「特に優れた所はないが、見苦しくなく身嗜み(みだしなみ)もとりつくろっていた中の品の女であったな。何でもよく知っている人の言ったことは、なるほど」とうなずかれるのであった。最近は左大臣邸にばかりいらっしゃる。やはり、すっかりあれきり途絶えているので、思い悩んでいるであろうことが、気の毒にお心にかかって、心苦しく思い悩みなさって、紀伊(きい)守(かみ)をお召しになった。「あの、先日の故中納言の子は、わたしに下さらないか。かわいらしげに見えたが。身近に使う者としたい。主上にも、わたしが差し上げたい」とおっしゃると、「とても恐れ多いお言葉でございます。姉に当たる人に仰せ言を申し聞かせてみましょう」と、申し上げるにつけても、どきりとなさるが、「その姉君は、そなたの弟をお持ちか」「いえ、ございません。この二年ほどは、こうして暮らしておりますが、父親の意向と違ったと嘆いて、気も進まないでいるように、聞いております」「気の毒なことよ。まあまあの評判であった人だ。本当に、器量が良いか」とおっしゃると、「悪くはございませんでしょう。離れて疎遠に致しておりますので、世間の言い草のとおり、親しくしておりません」と申し上げる。 |