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第一章 雨夜の品定めの物語[ [第三段 左馬頭、藤式部丞(すすむ)ら女性談義に加わる(12)繋がない舟の譬え(たとえ)もあり、なるほど思慮がない。そうではございませんか」と言うと、中将は34120313四。「今さし当たって、美しいとも気立てがよいとも思って気に入っているような男が、不安な疑いがあるのは重大でしょう。自分が乱心せずに大目に見てやっていたら、気持ちを変えて添い遂げないこともないだろうと思われますが、そうとばかりも言えまい。いずれにしても、夫婦仲がうまくいかないようことがあってもそれを、気長にじっと31434三いるより以外に、良い手段はないようですな」と言って、自分の妹の姫君は、この結論に当てはまっていらっしゃると思うと、源氏の君が居眠りをして意見をさし挟みなさらないのを、物足りなく不満に思う。左馬頭(さめりょう/さまりょう)がこの評定の博士になって、さらに弁じ立てていた。頭中将は、この弁論を最後まで聴こうと、熱心になって、受け答えしていらっしゃった。「いろいろのことに引き比べてお考えくだされ。木工の道の3113112三がいろいろの物を思いのままに作り出すのも、その場限りの趣向の物で、そうした型ときまりのないものは、見た目には2260.5132三ているのも、なるほどこういうふうにも作るのだと、時々に従って趣向を変えて、目新しいのに目が移って趣のあるものもあります。重大な物として、本当にれっきとした人の調度類で3032261.513五とする、一定の様式というようなのがあるものを立派に作り上げることは、やはり本当の名人は、違ったものだと見分けられるものでございます。また、画工司に名人が多くいますが、墨描きに選ばれて、順々に見るとまったく122313233四の判断は、ちょっと見ただけではつきません。
〰 おもしろ「ことば変換」〰 ![]() 左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 光る源氏 十七歳夏の参議(宰相)兼近衛中将時代の物語 [第三段 左馬頭、藤式部丞(すすむ)ら女性談義に加わる] (12)繋がない舟の譬えもあり、なるほど思慮がない。そうではございませんか」と言うと、中将は頷く。「今さし当たって、美しいとも気立てがよいとも思って気に入っているような男が、不安な疑いがあるのは重大でしょう。自分が乱心せずに大目に見てやっていたら、気持ちを変えて添い遂げないこともないだろうと思われますが、そうとばかりも言えまい。いずれにしても、夫婦仲がうまくいかないようことがあってもそれを、気長にじっと堪えているより以外に、良い手段はないようですな」と言って、自分の妹の姫君は、この結論に当てはまっていらっしゃると思うと、源氏の君が居眠りをして意見をさし挟みなさらないのを、物足りなく不満に思う。左馬頭がこの評定の博士になって、さらに弁じ立てていた。頭中将は、この弁論を最後まで聴こうと、熱心になって、受け答えしていらっしゃった。「いろいろのことに引き比べてお考えくだされ。木工の道の匠がいろいろの物を思いのままに作り出すのも、その場限りの趣向の物で、そうした型ときまりのないものは、見た目には洒落ているのも、なるほどこういうふうにも作るのだと、時々に従って趣向を変えて、目新しいのに目が移って趣のあるものもあります。重大な物として、本当にれっきとした人の調度類で装飾とする、一定の様式というようなのがあるものを立派に作り上げることは、やはり本当の名人は、違ったものだと見分けられるものでございます。また、画工司に名人が多くいますが、墨描きに選ばれて、順々に見るとまったく優劣の判断は、ちょっと見ただけではつきません。 |