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(3)もったいない御102200二をお頼り申してはいるものの、14222333四したり落度を探したりなさる方々は多く、ご自身はか弱く何となく頼りない状態で、なまじ御寵愛(ごちょうあい)を得たばっかりにしなくてもよい物思いをなさる。お局(おつぼね)は桐壺(きりつぼ)である。おおぜいの10122112四方の前をお素通りあそばされて、そのひっきりなしのお素(もと)通りあそばしに、お妃(おきさき)方がお気をもめ尽くしになるのも、なるほどごもっともであると見えた。参上なさるにつけても、あまり31221二重なる時々には、打橋や、渡殿のあちこちの通路に、けしからぬことをたびたびして、送り迎えの女房の着物の裾が、がまんできないような、とんでもないことがある。またある時には、どうしても通らなければならない馬道の戸を鎖し(とざし)て閉じ籠め、こちら側とあちら側とで示し合わせて、進むも退くもならないように困らせなさることも多かった。何かにつけて数知れないほど辛いことばかりが増えていくので、たいそうひどく思い悩んでいるのを、ますますお気の毒におぼし召されて、後凉(りょう)殿に以前から伺候していらっしゃる更衣の部屋を他(ほか)に移させなさって、上局(うえつぼね)として御下賜(ごかし)あそばす。その方の恨みはなおいっそうに晴らしようがない。[第三段 若宮の御袴着(はかまぎ)(三歳)] この御子(みこ)が三歳におなりの年に、御袴着(はかまぎ)の儀式を一宮(いちのみや)がお召しになったのに劣らず、内蔵寮(ないぞうりょう)や納(おさめ)殿の14261.522233四をふんだんに使って、大変に盛大におさせあそばす。そのことにつけても、世人の10241140三ばかりが多かったが、この御子(みこ)が成長なさって行かれるお顔だちやご性質が世間に類なく(たぐいなく)素晴らしいまでにお見えになるので、お憎みきれになれない。ものごとの情理がお分かりになる方は、「このような方もこの末世(まっせ)にお生まれになるものであったよ」と、驚きあきれる思いで目を見張っていらっしゃる。
左下「れんじろう」内に下の文をコピペし語を選択後、変換ボタンを押して読んでみよう。変換語によっては面白いですよ。 【現代語訳】 第一章 光る源氏前史の物語(1) (3)もったいない御庇護(ひご)をお頼り申してはいるものの、軽蔑(けいべつ)したり落度を探したりなさる方々は多く、ご自身はか弱く何となく頼りない状態で、なまじ御寵愛(ごちょうあい)を得たばっかりにしなくてもよい物思いをなさる。お局(おつぼね)は桐壺(きりつぼ)である。おおぜいのお妃(おきさき)方の前をお素通りあそばされて、そのひっきりなしのお素(もと)通りあそばしに、お妃(おきさき)方がお気をもめ尽くしになるのも、なるほどごもっともであると見えた。参上なさるにつけても、あまり度重なる時々には、打橋や、渡殿のあちこちの通路に、けしからぬことをたびたびして、送り迎えの女房の着物の裾が、がまんできないような、とんでもないことがある。またある時には、どうしても通らなければならない馬道の戸を鎖し(とざし)て閉じ籠め、こちら側とあちら側とで示し合わせて、進むも退くもならないように困らせなさることも多かった。何かにつけて数知れないほど辛いことばかりが増えていくので、たいそうひどく思い悩んでいるのを、ますますお気の毒におぼし召されて、後凉(りょう)殿に以前から伺候していらっしゃる更衣の部屋を他(ほか)に移させなさって、上局(うえつぼね)として御下賜(ごかし)あそばす。その方の恨みはなおいっそうに晴らしようがない。 [第三段 若宮の御袴着(はかまぎ)(三歳)] この御子(みこ)が三歳におなりの年に、御袴着(はかまぎ)の儀式を一宮(いちのみや)がお召しになったのに劣らず、内蔵寮(ないぞうりょう)や納(おさめ)殿の御物(ぎょぶつ)をふんだんに使って、大変に盛大におさせあそばす。そのことにつけても、世人の非難ばかりが多かったが、この御子(みこ)が成長なさって行かれるお顔だちやご性質が世間に類なく(たぐいなく)素晴らしいまでにお見えになるので、お憎みきれになれない。ものごとの情理がお分かりになる方は、「このような方もこの末世(まっせ)にお生まれになるものであったよ」と、驚きあきれる思いで目を見張っていらっしゃる。 |